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労働紛争の類型と予防策
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労働紛争の類型と予防策

2 解雇の有効性をめぐる紛争

  • 解雇の類型
    • 普通解雇

      通常解雇とも言われる形態です。従業員が病気などで労務を提供することができなくなったり、労務の適格性を欠いていると判断された場合が一般的な例として挙げられますが、最近は、勤務成績が悪い従業員をリストラ目的で解雇する例が増加しています。

      解雇の有効性をめぐっては、解雇権濫用法理という判例法理が確立されており、平成19年に制定された労働契約法により、同法理が明文化されました(同法16条)。

      労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。

      一見、権利の濫用にわたらなければ解雇は自由にできるという内容にも読めますが、解雇の合理性と相当性の立証責任は使用者側に課され、解雇の合理性・相当性が認められるハードルも高いのが現実です。

      無断での遅刻・早退・欠勤や業務命令違反・怠業を繰り返し、その都度注意をしても改めない場合などには解雇の合理性と相当性が認められる可能性を相当程度見込めますが、単なる能力不足を理由とする解雇は困難です。例えば、特定の専門職に限定した雇用であり専門的な知識と能力を充分に有していることを前提として採用されたこと、それにもかかわらず知識や能力の不足により業務に適応する可能性が認められないこと、といった事実を、使用者側で的確に立証することが求められます。

    • 整理解雇

      会社の経営を維持するため、人員削減目的でなされる解雇です。

      整理解雇の有効性を判断する基準についても判例法理が確立しており、①人員削減の必要性、②人員削減の手段として整理解雇を選択する必要性、③解雇対象者選定の妥当性、④解雇に至る手続の妥当性、が整理解雇の4要素として挙げられています。

      これら4要素の全てを確実に充足することまでは求められませんが、4要素を総合考慮したうえで整理解雇の合理性・相当性の有無が判断され、総合考慮の結果、整理解雇の合理性・相当性が否定された場合には、解雇権の濫用として整理解雇は無効とされます。

      4要素のうち、①人員削減の必要性は、整理解雇まで考えざるを得なくなったケースであれば多くの場合に認められると思われますが、②整理解雇を選択する必要性が認められるためには、配転出向、一時帰休、希望退職の募集など、使用者の状況が許す範囲での代替手段を講じる必要があります。③解雇対象者選定の妥当性が認められるためには、勤務成績や他の部署への配転活用の可能性など、客観的で合理的な基準を設定して、それを公平に適用することが必要です。④手続の妥当性が認められるためには、整理解雇の必要性について充分な説明を行うこと(労使協定で組合などとの協議を行うこととされている場合には、その協議を経ること)が必要です。

    • 懲戒解雇

      懲戒処分としてなされる解雇です。

      懲戒処分は就業規則の根拠規定がなければなし得ないので、懲戒解雇を行うためには、就業規則に、懲戒処分の一環として懲戒解雇という処分が存在すること、及び懲戒解雇の事由を明記することが必要です。

    • 諭旨解雇(諭旨退職)

      懲戒解雇の事由があるが、情状を酌量して懲戒解雇よりは条件面で恵まれた解雇とする場合(諭旨解雇)、もしくは、懲戒解雇の事由がある場合に自主退職を促し、退職届を提出した場合には自主退職の扱いとする場合(諭旨退職)をいいます。

      諭旨解雇、諭旨退職を懲戒処分として行う場合にも、やはり就業規則の根拠規定が必要です。

  • 具体的な紛争予防策
    • 就業規則の整備

      解雇事由は、就業規則の必要的記載事項とされています(労働基準法89条3号)。

      普通解雇、整理解雇は就業規則の根拠規定がない場合にも可能ですが、解雇に合理性があることを説明する際には、就業規則の根拠規定を示さないとなかなか説得力が生まれません。したがって、就業規則を制定ないし改定し、解雇事由を適切かつ具体的に記載することが必要です。

      前述したとおり、懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職の懲戒処分は、就業規則に根拠規定がなければそもそも不可能なので、懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職の懲戒処分を行う場合には、就業規則に、①懲戒処分として懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職が予定されていること、②懲戒解雇、諭旨解雇・諭旨退職の事由を明記することが不可欠となります。

      なお、就業規則に懲戒解雇の事由を明記したとしても、懲戒解雇は容易には認められない傾向があります。業務上横領や暴行などの刑法犯となりうる事例や長期間の無断欠勤の場合はともかく、社内の規律を乱したことや勤務態度の不良を理由とする懲戒解雇は、相当の頻度・程度に達していないと有効とされにくいのが実情です(※)。

      したがって、中間的な解決方法として、諭旨解雇・諭旨退職を就業規則に明記することが有効です。諭旨解雇・諭旨退職を就業規則に規定していない場合が意外と多く見受けられるため、念のため付言しました。

      ※ 懲戒解雇の意思表示を行うとともに、予備的に普通解雇の意思表示も行っておけば、懲戒解雇の要件を充たさなくとも、普通解雇の要件を充たせば普通解雇が可能です。

      しかし、懲戒解雇の有効性まで肯定されるかどうかは微妙であるが、相当程度の非行が認められることは確かであり、使用者としては何らかの懲戒処分を行う必要があると判断せざるを得ない場合も生じ得ます。そのような場合には、諭旨解雇等の懲戒処分を就業規則に明記しておいた方が柔軟な対応をすることが可能になります。

    • 解雇事由の存在を立証するための資料の準備

      就業規則の整備は、解雇をめぐる紛争を予防するための大前提です。

      紛争を予防するためには、これに加えて、解雇事由が存在することを解雇通告時に説得的に説明するための資料をふだんから準備することも必要です。

      資料の例としては、業務命令違反や怠業をした場合の注意書ないし始末書、勤務態度や勤務成績を記した上司の業務日誌、過去に行った懲戒処分に関する記録などが挙げられます。煩雑ではありますが、このような細かい資料の積み重ねをしておくと、紛争に至った場合の立証にも大いに役立ちます。

    • 整理解雇を行う場合

      整理解雇の有効性は前述した4要素の総合考慮により判断されますが、4要素(特に手続の妥当性)を可能な限り充足すべく、事前に弁護士と協議したうえで、慎重なプランニングを行うことが必要です。

    • 円満な自主退職を実現するためには

      これまで述べてきたとおり、日本の労働法制のもとでは解雇のハードルは高いのが現実です。

      したがって、事情が許すのであれば、話し合いにより円満な自主退職を実現するのが最善の方策です。

      ただし、違法な退職勧奨(退職強要)にならないよう細心の注意が必要です。退職勧奨の方法や程度を誤ると、事実上の解雇として解雇無効を争われるおそれがあるうえ、違法な退職勧奨による精神的損害の賠償まで求められる可能性があります。どの程度までの退職勧奨が許されるか、予め弁護士に相談することが必要です。

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